ご挨拶
大学院教授
大久保 公裕
日本医科大学耳鼻咽喉科学教室のWebsiteをご覧いただき、ありがとうございます。
このWebsiteは、医学生・研修医の皆さんに我々の教室についてより深く知っていただくために作成されたものです。
特に耳鼻咽喉科医に少しでも興味のある医学生・研修医の皆さんには、我々の活動を知っていただき、一緒に診療・研究・教育に携わってくれる若いエネルギーを募集しています。
出身大学や年齢は全く問いません。我々の門を叩いてみてください。
以下には、私からの教室紹介と所信を記します。
耳鼻咽喉科学教室の歴史とネットワーク
日本医科大学耳鼻咽喉科教室は、明治29年(1986年)10月25日に、済生学舎でドクトル小此木信六郎が耳鼻咽喉科学の講義を始めて以来、124年の歴史を持つ日本で最も古い耳鼻咽喉科教室の一つです。東京の真ん中の「文の京」文京区に位置し、周辺には東京大学、東京医科歯科大学、順天堂大学など多くの大学がある中で、数多くの患者さんの期待に応えるべく、幅広く、ハイレベルな耳鼻咽喉科診療を行っています。
本学には文京区千駄木の付属病院の他、都内には多摩永山病院、千葉県には千葉北総病院、神奈川県には武蔵小杉病院があり、それぞれ独立した耳鼻咽喉・頭頸部外科として診療を行っております。母体となる教室としては一つにまとまっていて、強力なネットワークを形成しています。また、長い歴史に裏付けられ、教室出身の先生方が全国に多くおられます。これも強力なネットワークの源になっています。
耳鼻咽喉科・頭頸部外科での診療
耳鼻咽喉科・頭頸部外科の診療領域は幅広く、聴覚、平衡覚、嗅覚、味覚などの感覚器障害、頭頸部臓器のアレルギーや炎症、腫瘍など様々な分野を取り扱います。当教室ではそれぞれの分野のエキスパートがおり、安心して受診頂ける診療体制を構築しています。
外来診療は耳鼻咽喉科一般外来を月曜日から土曜日午前中まで毎日行い、アレルギー性鼻炎や花粉症に対するアレルゲン免疫療法(減感作療法)やレーザー治療の専門外来、頭頸部腫瘍専門外来、めまい外来、補聴器外来などを各病院で行っております。花粉症・アレルギー性鼻炎治療では、日本で新たに行われる舌下免疫療法の臨床研究をわが国では初めて倫理委員会の承認を得て実施し、厚生労働省科学研究費補助金事業、文部科学省科研費事業などの援助で一般医療化への推進に尽力しました。
入院診療では慢性副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎に対する手術はもちろん、眼窩底骨折や閉塞性涙嚢炎の手術なども経鼻内視鏡を用いて行なっています。真珠腫性中耳炎や慢性中耳炎に対する鼓室形成術など耳科手術も短期の入院で行っています。頭頸部腫瘍に対する手術は頭頸部がん専門医が低侵襲な治療を、高度な技術で行っています。すべての手術において、患者さんにやさしい治療を実践できるように努力しています。
大学院医学研究科頭頸部・感覚器科学分野での研究
大学院医学研究科では頭頸部・感覚器分野の研究を担っています。行われる研究は鼻科学、臨床アレルギー学、耳科学、喉頭科学、口腔咽頭科学、頭頸部腫瘍など広範囲です。その研究手法としては,生理学的,形態学的,免疫学的,分子生物学的方法が駆使され、多くの研究論文が発表されております。
毎年10編以上の英文論文が出されていることは、日常診療の比重が重い臨床医学の教室では多いと自負しております。2012年の英文論文は17編で、8編が鼻科学・免疫・アレルギー学、3編が基礎耳科学、2編が頭頸部腫瘍学、3編が咽頭喉頭学であり、1編は医学教育に関するものでした。また、国際学会を含む多くのシンポジウムにおいて演者に指名されることも多くあることも、すべての分野での研究が国際的に高く評価されている証だと思っています。さらには、もう一つの評価基準でもある文部科学省研究費補助金や厚生労働省科学研究費研究補助金を多く獲得しています。
現在、研究は付属病院と武蔵小杉病院を中心にして行われていますが、臨床研究はもちろんのこと、基礎研究も各病院で行われるような体制作りをさらに進めています。研究に伴う特許も多く申請されおり、今までの特許の産学共同での有効活用を日本医科大学TLOセンターと共同で進めています。
研究心が教室を支えています
当教室で行われている基礎的・臨床的研究が目指している目標は、患者さんに対する優しい治療を実践するために、科学的に客観的事実を見出して先進的な医療に繋げることです。我々の考え方の基盤をなすこの研究心は、日本医科大学耳鼻咽喉科学教室にドクトル小此木信六郎の時代から受け継がれてきたもので、時代や診療技法の変遷を経ても、未来に向かって継承されるべきものです。人間への愛を有し、伝統的な研究心を引き継ぐ、明日の耳鼻咽喉科学を担う若き医師の育成に力を注いでいきたいと考えています。